粋なインフルエンス
先週の旅行について。夜になって1人になってからお楽しみの冒険です。
神戸は最高な街である、それだけで行く理由があるという点で意気投合したAさんが、
近い将来飲食x場づくりの事業を考えている私を慮って教えてくれたお店を巡るのです。
テメエ教(自分一神教)の私ですから、行きたい所は自分で決めるわいといつもなら参考程度にとどめておくのですが、知り合って1年足らずながら信頼できるセンスの人なので試しに素直に従ってみることに。
入梅前の猛暑日も暮れれば涼しく、吹き抜ける海風が心地よく、永遠に歩ける感じ… 神戸駅から東へ高架下沿い、日曜の夜ゆえちょっと物騒なくらい歩いているひとが少ないのがいい。
優しくともるサインはビストロ風のお惣菜屋。新しくてシンプルで清潔、暖かい木目のインテリア。野菜を丁寧に処理して和えてワインに寄り添わせる味付け…に酔っていると、整った効率的な厨房に圧倒的な存在感を放つ、雷鳥オブ「雷鳥の里」に刮目。まただ。雷鳥ピン刺しは自分なりに発見した、美味しい店の厨房あるあるなんである。たまたまお客さんから貰ったお土産なんでしょうけど。
ビストロの主は口数は少なく確実な仕事をするお嬢さんという感じで私との会話は少なかったが、薄くかかる音楽が狙ったように明菜/百恵のミックス?で、それだけでもてなされた気がしましたよ。私の嗜好なんて知らないだろうが。東京から、しかも人づてで来たことにめちゃくちゃ感謝されて玄関先まで丁寧に送っていただきふたたび夜風の世界へ。
その後二軒、美味しく楽しく心地よく自分に染み込むお店が続き。教えてくれたAさんのセンスやばいな…ばっちり…とか思ってたら日曜も22時、人影まばらな元町界隈。
なんどか来訪して人と歩いたりした場所はその会話が思い起こされたりもするなあとニコニコしながら歩いてたら見つけた灯り、階段に名盤のジャケット。
カウンターには先客が2組あり、ベストヒットUSA世代の3名と最近ビリージョエルにハマり出した20代と思しき彼氏率いるイオンモール的カップル。来日公演があったら絶対に行きたいと彼女にはしゃぐ。
ちょっとしたライブくらいはできるんではないかという広さの、広がりのある店内に響く緻密で広がりのあるステレオの音、かつて指輪の裏に刻んだ言葉でおなじみ「Honesty」だ…
誰の何に対するHonestyだったんだろうというのは今も思う。自分の気持ちに正直になったら結果的に相手に誠実にはならないでしょうということもあるだろう。結果はこの通り。
まぁそんなことはさておき、ド有名曲こそみずみずしく輝くサウンドシステムなにこれ!まずはROM専だよねとジーッと聴き入ってみる。
こういう時、洋楽のド有名アーチストでどの曲を選ぶかってのが結構重要で、次から次へと「なんであなたわたしの嗜好がわかるのよ…」というラインナップ。うーんなかなかやるな。
23時、肩を並べてた二組は帰り「どんなの聴きます?」といよいよリクエストの権利が私に来た。「(こんなに音がいいなら)なんでもいいです、お任せします」と夕飯を訊いてくるお母さんに言ったらキレられそうな台詞でゴングは鳴った。私の嗜好から逸れるまでリクエストなしでお任せプレイしてやろうと思ったのである。
そう、完全にプレイなんである。
閉店時間までの約1時間、あまり人に言ってないようなものも含め私の通って来た曲、再生レート高めな音楽が新旧和洋次々と。恥ずかしいけど気持ちいい。このひとときに副音声があるのならば私の解説は相当饒舌だ。現実のシーンはただただ良い音に圧倒され、たゆたっていただけだけど。最後のレコードは具島直子「CANDY」、東京を発つ朝に我が家のプレイヤーでかけたもの。音が雲泥。もうBluetoothでスピーカーに飛ばすのはやめよう。。。
早速東京に帰ってAさんに報告をしていると、居合わせていたお客のBさんも同じ店で「なんであなたわたしの嗜好がわかるの経験」をしたという。Aさんは、そう感じるのは女性ばかりだと言ってエロいエロいと悔しがる。テメエ教の私をすっかり遠隔操作してしまったAさんあなたも同様にエロいのではないか? と思いながらお礼と報告を終えて別れた。
人をあまりにも信用しないのは人生損する、信用できる人はぞっこん信用しましょう、と思った旅でした。
耳と脳を支配されるのは気持ちいいね。