marhythm

Rhythm, Philosophy, Joy of seasons

上海Day5

9/14

昔はこうだったなんて無粋なのは承知の上で、2018年現在の上海市の交通事情について驚きとともに記しておこうと思う。上海再訪の最大のニュースは交通インフラ向上かもしれないと今の所思っているから。いまとなっては信じられないが、日中関係が良くなかったこともあり街なかで写真を撮るのはよくないとされていたのといくばくか撮った写真も嫌な思い出におさらばしたくて捨ててしまっていて、文章でしかお伝えできないのが残念であるが。

 

いわゆる駐妻の私たちは、いくつかの駐在員向けマンションが共同で運行している専用バスしか乗ってはダメと言われていた。タクシーを使うのも場合によりけりではあるが、何かあっても知らないよ、と言う言い方を会社からされていたと思う。いく場所は日々の生活必需品を購入する家楽福(ジャラフ=カルフール)やその他古北の日本人・外国人向け商店が立ち並ぶ場所か、日系デパートという感じでルートが決まっていた。水城路の家庭教師バイトにはこれで通うことができたが、ウイークデーの午前は自分の語学履修のために「戯劇学院」に通い、週2回午後は「外国語大学」へ日本語を教えに行っていた私は、専用バスだけを使うわけにもいかず公共路線バスに乗ることが多かった。

 

あの頃すでに上海には多くの路線バスが網の目のように走っていたし、マンションの近所にあるバス停にも20以上の路線が通っていた。が、難易度は高く乱立するバス停の看板が古いし読みにくいし、時刻表などあってないようなもの。やっと乗りたい路線が来ても、すでに乗車率200パーセントくらい。それなのにラッシュ時ともなると乗車口をめがけて人は押し寄せ、前のバスから吹き出す排気ガスを浴びながら当たり前のように乗る。その流れに乗る根性がないと公共バスには乗れなかった。乗っても、降りたい場所で出口までたどり着けず降りれないことも多々あった。もちろん、スリに遭ったこともある。降りたらカバンが異常に軽く、ジッパーの口を握って気をつけていたのに、反対側を金具でスッとあけられていた。大した額は持ち歩いていなかったけど、心細い生活の中でお守りのように持っていた、チープだけどお気に入りのお財布がなくなったのは悲しかった。警察に申し出て書類を書いていたら、投げやりな口調で「国慶節前だからみんな故郷にお金を持って帰りたくて、スリが増えるんだよ」なんて言われて、お財布が戻ってくる希望なんて一切持てないまま帰された。

 

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時は2018914日。人民公園までお得意の2号線で。基本の上海博物館を見た後、やっぱりアートが足りてないと感じて高徳地図で「上海当代芸術博物館」を検索してみる。おっとバスで行った方が早そうな感じ。バスまだ今回乗っていないけど、外から見るとそんなに混んでないみたいだし、いっちょ乗ってみることにした。ちなみに国慶節まであと2週間くらい。アラートはゼロではない。

 

二階建てバスにエンカウント、昼間もLOVEい


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 バス停は人民公園から少し歩いた、上海大劇院の近く

 

 

乗ってみると車体がまず新しい。現金入れ・交通カード/微信QR読み取りの揃う運転手横。2元の一律料金なので聞く必要もないのに「どこまで?」と聞いてくれ「7つ目だよ」と教えてくれた。(京都市バスも見習って欲しいけど、そもそも後ろ乗りだもんね)椅子もほどほどに空いていていい感じ。座って車窓風景も余裕で撮れるし、床にゴミ落ちてないし!よく実家に帰る時につかう、平日昼間の渋谷~阿佐ヶ谷の都バスののどかさと変わりません。違うのは、陽射しを遮るカーテンがついてることくらい。非常に平和にバスを降りて少し歩くと、「上海当代芸術博物館」に到着した。オープンまで少し時間があるので、アートっ子たちが憩う平和なベンチに座り、朝買ってリュックに入れてたお肉のちまきを食べる。バスに乗ったのにこんなに気持ちが穏やかなんて。

 


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「上海当代美術館」はその名の通り現代美術専門で、有料で新海誠展示、それ以外のいくつかの展示を無料で見ることができた。上海ビエンナーレの歴史展示と、上海にゆかりのある建築家をまとめた展示がかなり良く、建物だけではなく当時の写真に映る街の様子がおもしろかった。ああ、ほんと昔の写真残しておけば良かったな。ミュージアムショップ充実で、少ない友人を思い浮かべながらじっくりお土産を買った。

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降りたバス停とは別のバス停から、次なる目的地「上海電影博物館」へ。上海万博でできたらしい新しくてベンチもあるバス停。止まったバスに流れるようにほんわかムードで乗り、今度は自分の降りるバス停を笑顔で自己申告してみた。すると「違う、このバスは途中からルートが変わってそこには行かないよ」と笑顔で…既にバスは走り出している。いくつかバス停を通過し、不安になって車内でキョロキョロしていると、分岐になるバス停で運転手さんが一緒に降りてくれ、乗り換えのバスを指差しで教えてくれた。。

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降りてくれたバス停

 

待たされている中のお客さんも全然文句言わない!優しい。。ありがてえ。。(cf. 京都市バス

 


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電影博物館は60元と高いだけあってエレベーターを上がるときらびやかなレッドカーペットが仕込まれているなど、演出もご立派で内容も充実のラインナップ。大学の時書いた演劇専修のレポートabout中国映画なんて相当薄っぺらい未開人の書き物だったんだと恥ずかしくなった。有名映画にアテレコできるブースなんかもあってマイクで発する四声は気持ちよかった。ここでも当局の芸術への熱意を感じた。放送局、配給会社、芸能事務所など様々なパワーバランスが絡む日本は逆にこういう網羅的な展示は難しいのかもしれないなと思いながら電影街を後にする。

 

高徳地図xバスの組み合わせはフレキシブルに動けるし、街の様子が見えて楽しい。運転手も乗客も優しくなったし。ITのおかげで言葉は補完程度にしても、上海市内なんとかなる。と少し自信をつけたわたしは交通大学駅近くにある、リストアップしていたショップに行くことにした。明日は1日フェスのために空けているので、空港以外でお土産を買う時間が今日しかないのだった。

 

次のバスに乗り込もうと交通カードをかざすと、運転手さんが何か言っている。もう夕方の帰宅タイム、後ろから乗ってくる人が来たのでそのまま何も言わずに慣れたふうに乗った。その人にも同じ事を叫んでいた。2つ停留所をすぎると「これから俺メシだから、休憩だから、降りて!」とのこと。「渡ったとこのバス停から同じ番号のバスに乗れば、この続き乗れるから!」あーそうですか。最初に言ってたのはその注意だったのか。いわゆる〇〇どまりね。都バスでもあります、バスのおでこに青山一丁目止まりって表示してあるけど間違って乗っちゃった人には乗り継ぎ券くれるけど


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気を取り直してもうひとライド

 

四つ角の向こう側のバス停に移動し、乗り継ぎ無事目的地に着く。上海に来て初めて話す日本人はこちらでセレクトショップを営む女性だった。実家が近い縁で、株のことを教えてもらったり、色々遊びに連れていってくれたお姉さん、Yさんの紹介というのもあり話が弾む。Yさんとはちょうどこの時期旦那とドバイに旅行に行っているそうで会えないのは残念であったが。

何かしらを経営している方のお話は今の私にはとても興味深く、店主とはテレコなんてなくても帰りの地下鉄で全部書き起こせるくらい前のめりで会話ができた。


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明日はConcreteGrassという野外フェスに行く。フェスって日本でも苦労が多いものなので、公共バス以上に不安要素があるけれど、バスの進歩を実感した今日、何かまた新しい発見があるんじゃないかと期待している。行ってみないとわからないけど。

 

上海の街なかで食べる夕食は今夜が恐らく最後なので、ドミで出来た友達と近くのザリガニ屋さんに行く。10年前、上海の若者たちにザリガニ屋さんが大流行で自宅近くの商店街にもザリガニ屋さんが乱立していた。どのお店もガラス張りで、カップルが向き合ってザリガニをパクつく様子が私にはとっても野蛮でエロく感じられた。お腹壊すから行っちゃダメと言われていて行かなかったが。

時を経て色々と淘汰されたのか、お店は少なくなっていたが値段は5倍くらいの、割としっかりしたチェーン店だけが残っていた。サーブされたザリガニ、やはり私は一度引いてしまってじっとザリガニと対峙していると一緒に来たオーストラリア人が「ロブスターに比べたら可愛いもん」という。そうか? 小さくてたくさんあるから怖いんですけど?? 赤み強いし!

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ザリガニは殻がかたい

 

甘エビが大好きでお椀いっぱい食べていた頃を思い出して、えいやと指で殻を割ろうとするが意外と固い。ハサミもないので犬歯で一回きっかけを作って身と頭を割る作戦。頭のみその方に独特の辛く濃いめの味付がたまっていて、ビールが進む。一方身にそんなに味がしみてはいないので肉の甘みを感じられた。身と頭を交互に口に入れるといい感じ。気づくと足も歯で割って食べられるようになっていて3皿お代わりした。ビールも入れて1100元ちょい。ラストサパーは豪華にきめました。

 

隣のボックスには合コンと思しき男女6人がいて、やっぱザリガニ屋はそういうところなのかな?と思いました。貝のお料理もたくさんあるし。